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matta
2009.03.08 Sunday
「Ohh, You are Shinji!」
ニューヨークのギフトショーを訪れ、mattaのブースを物色しているときに声を掛けられた。目の前の女性がなんで自分の名前を呼ぶんだろうか?一瞬キョトンとしてしまったが、確かに自分は大きな名札を首からぶら下げていた。そしてその彼女も名札をぶら下げている。そこには[ matta Cristina ]と。
「Ohh, You are Cristina!!!」
ちょうどその場に居合わせたデザイナーのクリスティーナだった。LenaやMelissaなど共通の友人がいて、お互いにお互いのことを知ってはいたけれども、インドに行ったときに入れ違いになり、ニューヨークでは慌しい毎日のせいもあり、今まで会うことが出来なかったクリスティーナである。スラリとした細身の彼女はインドであろう染の効いたワンピースにベストを羽織り、足元は味の入ったロングブーツ、ネックレスや指輪はインドのモノを身につけていた。なんとも個性的である。話を聞くと2児の母でもあり、「仕事と家庭の両立は大変よ。」と楽しそう話す笑顔が素敵な女性であった。偶然とは言え、やっと会えたねと対面を喜んだ。
その場で彼女から新しいモノなどの説明を受け、いくつか注文を置いてきた。でもそれらが入ってくるのは春真っ盛りの頃になるということだったので、とりあえず在庫にあるものをわけて欲しいと少々強引なお願いをし、後日SOHOにあるお店を訪ねボンボンの付いたショールDUPATTAを幾つか持ち帰ってきた。
その2週間後、日本に来ていた彼女に再会した。ニューヨークでの対面のおかげで急に彼女との距離が短くなった。「時差ボケよ。」とつらそうに天を仰いでいたが、「戻ったら数日で今度はインドに行って生産よ。」と2児のかあちゃんは強いのである。今度はどこで会えるだろうか?それも楽しみだ。
DUPATTA by matta
PALSHUS
2009.01.20 Tuesday
焼き物、焼き鳥のことではなく、もちろんここでは陶器のことであるが、まあどちらにしても旨いや美しいなどの個人的な判断は出来るものの、その技術や労力などに関してはほとんど無知な自分である。そんな自分がここで書き綴ることが正しいかどうかは棚に上げるとして、PALSHUSの陶器は美しい。
すっきりとした輪郭、その輪郭の縁取りから顔を出した白い土、木・石・土など自然を想わせる釉薬の色彩、そしてそのグラデーション。まるで計算されたのか、と思うのだが、人が轆轤を回した形であり、窯の火が作り出した色であると思うと奇跡に近い感覚を覚える。そう言えは、陶芸をしている友人が「美しい釉薬を作るのはまるで科学者のようなこと(調合など)をしなくてはいけない」と言っていたのを思い出した。やはり奥深い世界なのだ、それだけは理解しているつもりである。だって、それに惹かれるのだから。
PALSHUS
Denmark 1950's
左 Tall Vase ¥42,000-
中 Brown Plate ¥10,500-
右 Green Plate ¥26,250-
Fuga
2009.01.09 Friday
年の瀬に立ち寄った古本屋さんで「柳宗理・エッセイ」を見つけた。ちょうど年末年始にかけて読んでみようと思い、手に入れた。雑誌「民藝」に掲載されたコラム、デザインや民藝に関する自身の見解などを書き綴った内容でとても興味深い。特に民藝と工芸、その共生の話は面白かった。
北欧に行ったときに買い集めたガラス器がある。スウェーデンのOrrefors(オレフォス)で作られていた古いもので、Fuga(フーガ)と呼ばれるシリーズである。これ以上にシンプルなガラスはあるだろうかと思われ程、隙のないデザインがその美しさを強調している、そんな潔さにはっとさせられる器である。そしてさらに強く惹かれることになったのはその作り方だった。溶けたガラスを高速で回転させ、その遠心力を使ってそれらの形を作り出しているのだと言う。だからエッジの部分が自然で滑らかな曲線に仕上がるらしい。またきっと型があって、それにめがけて回転させているのだろう。同じタイプのものをいくつか見つけたが、外側のサイズは同じでも、そのガラスの厚さが違っていて、ガラスの量や職人の技量によってその差が生まれるのだと想像できる。
人の力と自然の力が互いに力をあわせて作った器、柳宗理の言う現代的民藝(工藝)ってこういうことなのかと感じた。「エッセイ」の中で度々出てきた柳氏の言葉を借りるとしたら「無理のない健康的な美」と言えるだろうか。1950年にデザインされてから60年が過ぎようとしているのに未だに美しい、健康でなければ成しえないだろうから。
Fuga ¥2,625-から
Lapland Craft
2008.12.13 Saturday
今、世の中では旅離れが進んでいると聞く。確かにPCを開けば、それは全世界に繋がっている。旅をする必要がなくなっているというのは少なからず本当だろう。でもやっぱり旅はするべきだと唱えたい。幸いにも仕事柄、年に数回は海を越え、外国で非日常を感じることが出来る。でもそんなとき一番感じるのは、実は日本だったりする。
海外に出れば出るほど日本人は素晴らしいと自画自賛を繰り返す。ニューヨークで、そして香港でも、BAPEは若者の心をがっちり掴み、Shu Uemuraは世界規模で女性の美を追求し、最近で出かけたベルリンでは日本のスニーカーショップそっくりなお店を何件も見かけ、コペンハーゲンではEVISU(ジーンズ)がH&Mに負けじと隣り合わせにお店を構える。ヨーロッパでのUNIQLO、MUJIの活躍は無関係な自分でさえ、鼻が高い。つくづく思う、日本人はオシャレな国民だと。アメリカでは安全靴のような立ち位置のレッドウィングのブーツを小奇麗に履きこなし、何十年も前にヨーロッパの田舎で着られていたようなブラウスをダボッとワンピースとして着こなしてみたりと、とにかくその編集能力が素晴らしいのだと感じる。
北欧でラップランドのブレスレットのことを訪ねても殆どの人は首を傾げていた。結局自分が北欧に行った際には見つけることが出来なかったが、後に買い付けに行った友人に仕入れたものを少し分けてもらった。これも現地ではオシャレなものではないだろう、でもオシャレとして楽しめる日本人でありたい。
Lapland Bracelet
一緒に
レザーケース
も分けてもらった。
Anne Ricketts
2008.11.28 Friday
ロサンゼルスの友人のお店に行ったとき、ショーケースを覗き込むと黒光りした小さな手や足が並んでいた。一目惚れだった。何かに役に立つ道具でもなければ、アクセサリーとして身につけるモノにもならないのは一瞬で分かったが、きっとそれだからこそ惹かれたのだ。手に取らせてもらうと、期待通りにずっしり重い、「ブロンズで作っているのだ」と説明してくれた友人の顔は自慢げだった。自分の趣味を知っている友人の顔には「やっぱり」と書いてあったようにも見えた。
それを機にアンと出会い、彼女の作る彫刻をSOURCEでも扱えるようになった。寒さを凌いでくれる訳でもなければ、煌びやかに着飾ってくれる訳でもない、でもいつも心を刺激してくる、自分にとってはそんな大切な存在のひとつなのである。
Anne Ricketts
アン・リケッツは15年以上にわたり独学で彫刻を学び、現在ロサンゼルス郊外で活動するアーティストです。歴史上、多くの優れた彫刻家が人体のフォルムに魅了されたのと同じように、彼女も人の持つ躍動感溢れるフォルムや自然の中に存在する美しいフォルムを自身の作品の題材にしています。また彼女はアートとデザインの中間にある曖昧なポジションに魅力を感じています。忠実に再現された手や足などのミニチュア作品はブロンズを用い伝統的な手法で1点1点作られた、小さいながらも立派な彫刻です。身近なアートとして日常の生活に潤いを与えてくれるような存在であって欲しいと願うのです。
Linen Check Shawl
2008.11.24 Monday
先月ロンドンでBarbourのジャケットを手に入れた。学生の頃からずっと欲しくてあこがれ続けて10年以上が過ぎ、昨今のポンド安が自分の財布の紐を緩め、背中を押してくれたのは助かった。そしてこの頃の寒い日々、いよいよ出番である。オイルの染みた生地は寒い空気を遮断し、暖かい空気を逃さない。ちょっと肩にくる重さがあるものの、オシャレには多少の我慢も必要かと思えば然程気にならないものである。襟を立てて、首元に空いた隙間には一昨年から使っているKhadi Shawlをぐるぐると2回巻きし、これで冬への備えは完璧であろう。そう思い、ショールを引っ張り出してみる。それは2年間ヘビーローテーションで自分の首を守ってくれたおかげか、お店に並んでいる新品に比べ、随分柔らかくなり、色も抜け落ちた。その姿に愛着を感じるものの、モスグリーンのジャケットに黒のショールではちょっと暗いだろう?同時に浮気心も湧き上がる。 そんな折、インドからショールの入荷があった。その中からマスタードのカディを巻いてみると一気に明るく見える。新しく入ってきたリネンのチェックも良さそうだ。これを機にもうひとつ違うものを使ってみたいと思っている。
Shawls from India.
Antique French Glass
2008.11.15 Saturday
コペンハーゲンの「ATERIER SEPTEMBER」で窓越しに覗いたショーウィンドには幾つかのクリアなワイングラスと同じくクリアなカラフェが置かれ、その奥にいかにも古そうなユラユラとしたガラスでその中にわずかに気泡の見えるアンバー色のグラスがあった。時代を感じるその姿に見とれ、手を伸ばしかけたが、前にも書いたように生憎の定休日、写真だけ撮らせてもらいアルバムにしまったつもりだった。
それから10日、あっという間のヨーロッパ遠征も終わり、いよいよ帰国の日となった。トランジットのためベルリンからコペンハーゲンの空港に降り立った。帰国の便までには5時間ほどあったのでチェックインまでの3時間ほどは自由な時間ということになる。さあ、どうする。ヨーロッパの買い付けに慣れている友人がマルメに行こうと提案してくれた。コペンーハーゲンにも「ATERIER SEPTEMBER」をはじめ気にかかる場所は幾つかあるものの、新しい土地に惹かれる。迷う理由はなかった。国境を越えた街、スウェーデンのマルメに行くことにした。見知らぬ街での3時間とは地に足が付かないであろうが、今回は強い味方がいる。すべてを委ね、前を行く友人の背中について小雨の舞う中、アンティークショップ巡った。予め空にしてきた小ぶりなスーツケースを引きずりながら、小さな町をぐるりと円を描くように巡る。何か見つけてはそのスーツケースに掘り込む。そのスーツケースがいっぱいになったらおしまい。そんなシンプルな最後の買い付けだった。幸運にも一番初めに訪れたお店で探していたモノを大量に見つけ、もうスーツケースはほぼ埋まってしまった。しかしその後は幾つかのお店を回るも目ぼしいものに出会うことはなかった。そして最後のお店、ここでも欲しいものはなかった。スーツケースにはわずかの隙間、そして時間も余った。店を出るとその隣にあったのちょっと冴えない雰囲気のアンティークショップがあったので入ってみることした。すると、10日前に「ATERIER SEPTEMBER」で見たのと似たアンバーのガラスを発見。こちらの方が気泡が沢山入っているが、ユラユラとしたガラスの質感やその姿には同じように惹かれるものがあった。店主に尋ねるとフランスのアンティークだという。グラス6個と他の器いくつがセットらしいが、他の器はあまり好み出なかったし、スーツケースにも納まりそうにない。半ば強引にグラスだけでと頼み込み、グラスだけで譲ってもらい、いっぱいになったスーツケースとともにコペンハーゲン空港に戻った。
日本に戻って、ノスタルジーを楽しむように窓越しから6つのグラスの写真を撮ってみた。これも一緒のアルバムにしまっておこうと思う。
Antique French Glass ¥2,100-
STONE BOWL
2008.10.07 Tuesday
お店をしている自分には何人かの師匠と呼べる人物がいる。そんな師匠との出会いがあって、助けがあって、お店ができていると言ったほうが正しいだろう。その中のひとり、ロサンゼルスの師匠とはアメリカで日本で度々会う機会に恵まれている。今年のはじめにアリゾナ州・ツーソンでも会った。
前にもココで書いたが、ツーソンでは年に1度、巨大なジュエリーの展示会が開催されている。僕らはその展示会に行くのが目的だった。会場を縦横無尽に歩きながら尽きない近況報告をする。しかしお互いに目はあっちへこっちへ、何か目に留まるものはないかと話半分で真剣そのもの。そんな中師匠が見つけたクリスタルのボール。無色透明の塊はクリスタルならではの荒々しい亀裂が入り、緩やかな曲線を描くようにカットされ、なんとなくボールのように見える塊といった様子だった。それらを手に取りながら「これは
アレクサンドレ・ノル
のようだ」とか「こっちは北欧の陶器のようだ」とか物色していた。確かに美しかったがここから日本に持ち帰る、または送ることを考えると尻が重い。日本で探してみようと思い、結局その場では師匠が全てを買っていった。
日本に戻ってからもやっぱりあれは良かったなぁと後悔に近い感情を持っていたものの、まあ日本でも探せるだろうと高をくくっていた。いざ探してみると綺麗に真ん丸に削りだされたボールはあっても、あの美しい有機的なカタチのものは見当たらない。無いと分かると尚のこと後悔が強まるものである。
それで、いざ!との想いで乗り込んだ香港。自分の頭の中に書いてきた探しているものリストの中でも上位に入っていたアイテム。そしてやっと見つけた。ツーソンで見たものよりは小さいものの、北欧の陶器のように波打つ曲線がなんとも美しいクリスタルのボールである。一緒にあったフローライトのものとあわせてすべて譲ってもらった。
Purple Flourite Bowl ¥6,300-
Blue Flourite Bowl ¥5,250-
Crystal Bowl ¥8,400-
Cambodian Silk Check Scarf
2008.09.25 Thursday
DWELL Playmountainで扱っている木のボールや皿などを作っている工房に連れて行ってもらった。その存在は以前から話に聞いていたが、訪れるのは初めてだった。それを工房と書いたが、いわゆる町工場とは違い、障害を抱えた人々が暮らす福祉施設で、そこで障害を抱えた人々と彼らのケアを務める人々が共同でモノ作りをするための木工所なのである。訪れた際にはもう作業の時間が終わってしまい後片付けをしている最中だったが、園長さんの好意で工房を案内してもらえた。作業台にはDWELLで見たモノと同じモノになるだろうボールの作業過程のモノがあった。無垢の木が丸く削り取られている。それは障害を抱えた人がした作業で、そしてそれを職員が綺麗に仕上げるのだと言う。それを聞かずに見ていたら、誰か作家の作り過程の木の器のように見えるほどの仕事振りに驚かされる。園長さんの説明によると、障害を抱えた人は何かひとつのことを集中してことに優れているらしい。その話を聞きながら、棟方志功のことが頭を過ぎった。
以前、ロサンゼルスで出会ったマリアン。友人の紹介で彼女のお店を訪れたのが初めてだった。コンクリート壁の内装とは相反して、黄、緑、紫、赤など、色とりどりの洋服や小物が点々と置かれた店内はまるで都会の中のリゾート。レディース中心のセレクトで、透けるように薄いシルクに細かい手刺繍を施したシャツ、シルク生地を何層も重ねた美しいシルエットのスカートなど、着ることの出来ない自分にとってはそのディテールの素晴らしさに惹かれた。そしてその中で見つけた色彩豊かなスカーフ。こちらもシルク生地を使い、縦糸横糸の具合で今まで見たことのない色の組み合わせのチェックを織っている。マリアンに訊ねると、ほとんどのモノは自分でカンボジアに出向き、そこで現地の人々に織り方や刺繍の仕方などを伝え、現地の素材や色を使って作っているモノなんだと言う。まさにフェアトレードのやり方で、彼女はそれを10年以上前から行っているのだと言う。その活動の素晴らしさにはさらに感銘を受けた。
初めての訪問であったが、その場で何枚かのスカーフを快く分けてもらい、お店で販売させてもらっている。
その人(人達)でなくては出来ないこと、その場所でなくては出来ないこと、そんなことを大切にしたい。そんなことを強く思うのである。
Cambodian Silk Check Scarf ¥5,040-
White Key Holder
2008.08.29 Friday
数日前にアリス・パークのことを考えていたからだろうか。関係あるかは定かでないが、アリスから荷物が届いた。「いつも何も言わずに送ってくるんだから。。。」そんなふて腐れたような気分に似た心の叫びとは裏腹に、荷物を開ける手はいつも以上に軽快である。
アリスが初めてキーホルダーを作ったときに白いレザーのものがあった。サンプルだったのだろうか、他のものと比べると極端に薄手のレザーを使ったものだったが、黄色や赤、緑など色鮮やかなラインナップが並ぶ彼女のシリーズの中では新鮮で、気に入ったものだった。そのときに数個仕入れをしたのを覚えているが、それ以来材料の手配が出来なくなってしまったからという理由で、僕らの中でも幻のような存在としていつの間にやら頭の片隅に押しやられていた。
それが今回、レザーの手配が出来そうだと連絡をもらい、注文し、その再会を楽しみにした心がいつも以上の軽快な開梱になっていた訳である。レザーも他のモノと同様の厚みになって、久しぶりの再会である。僕には白だけちょっと輝いて見える。
Key Holder
/
Alice Park
P.S. 一緒に
Slot Wallet
、
Card Case
も入荷しています。
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