Peter Ivy2011.03.26 Saturday



Peter Ivyのグラスを初めて目にしたのは確か5年ほど前、恵比寿のタミゼでだった。ショーケースの中に入っていたのは、ひび割れたガラス作品と、その隣に底面が極端に盛り上がったやや低めのタンブラー。どちらも歪な形に、細かな気泡が混じりあった非常に薄いガラスで作られ、それらは持ち上げるのさえも細心の注意が必要そうな、少し間違えたら音も無く壊れて消えてしまいそうな、はかなさが印象的だった。特に気に入ったのはそのタンブラー。どう使おうとか、何を入れようとか、そんなことではなく、とにかく欲しい、純粋にそう思った。しかし、ケースの中には「Not for Sale」と。。。 それからPeter Ivyのタンブラーは自分の中にある欲しいものリストに入った。欲しいものリストというのは、常に懸命に探しているもののリストというわけではなく、いつか欲しい、出会ったら購入しようというリストなので、気長に構えている類のものである。その後、ばったりPeter Ivyの作品を扱うお店に出くわしたり、彼の作品展の話を耳にしたりはしたけれども、一度もタンブラーには出会っていなかった。それが、先日ふらりと立ち寄ったタミゼで細身のタンブラーと出会った。今回は値札が付いている。幸い、ポケットの中には買えるだけの現金を持ち合わせていたので、その場で2つ選び、やっと念願が叶った。
値札にはビアグラスと表記されていたし、これは飾る(見る)ものではないと思う。早速、家でビールを入れると350mlがピッタリ収まった。重くなったグラスを手にするのはさらに緊張感が走るも、持ち上げれば意外にしっかりと手に馴染むことに気付く。また手には気泡の凹凸が伝わり、口に近づけると気泡の様子がよく感じられて良い。使って楽しい器かと思う。彼の作ったものを手にして思ったのが、はかなさと同時にそのギリギリのカタチで存在してる力強さのようなものがあると感じられたこと。それがPeter Ivyの魅力なのかもしれない。。楽しみながら、噛み締めたいと思っているので、酔って割らないように気をつけたい。

Peter Ivy Tumbler ¥4,500-
antiques tamise

道具2010.05.30 Sunday



 名古屋の知人のお店を訪れたときに一目惚れした金属製のとんがりコーン(?)。ブリキだろうか?所々メッキの剥げた姿が美しい。古いジュエリー用のディスプレイ、リングを引っ掛けるための道具だろう、これは素敵なモノを見つけたと、これっぽっちの疑いもなくレジに持っていった。しかし、知人からそれらがコルネを焼くときに使う道具だと思いもよらぬ事実を聞く。それを聞いて、いつかの雑誌で見たカスティリオーニの部屋を思い出した。そこには一見デザインとは無縁の道具や名もなきモノが収集されていた。機能を極めた道具にはときに作為のない素直な美しさが現れることがあり、それらはデザイナーが考える美しいカタチ(デザイン)を遥かに超えてしまうことがあるのだろう。いい買い物をした。

コルネの芯
Musee des Arts
愛知県名古屋市中区丸の内3-18-8 プチビル・シゲヒロ1F

CX-32010.04.03 Saturday



 水没したGRはその後僅かな回復を見せるも、依然オートフォーカスが作動せず。仕方がないと諦めて、次なる相棒は悩んだ挙句、CX-3に決定。キター、桜!ということで早速手に入れた愛機と共に桜パトロールへ。土曜の朝、中目黒から池尻へと続く目黒川沿いは、きっとこの時間だったら竹下通り以上の人出ではないかと思うほど。竹下通りに比べると、やや平均年齢高め、カメラ率は断然高めな感じ。だって、これだけ見事な桜だからね、と納得、圧巻の桜、桜。さて、愛機はというと、まずその大きなモニターが見やすく、便利でいい。携帯電話とデジタルカメラは競うようにそのモニターが大きくなっている気がする。昨今ではモニターが外せる携帯まで出て、その進化には驚かされる。まぁ、人間、細かい機能以上に視覚的な変化に影響されやすいからかと。肝心の機能の方はまだまだ手探りだけど、とにかくいろんなモノが付いている様子。画像サイズをアレコレ変えたり、シーンを変えてみたりと、オモチャみたいな楽しさがある。早速、「ハイコントラスト白黒」なるシーンモードを選んで桜を撮ってみる。これ、気分は森山大道かと。

HOLD IT Adam Silverman2010.02.14 Sunday



 マイク・デービスという名前は中学1年のとき、英語の教科書に出てきた架空の人物。そしてそれは自分にとってほぼ初めて耳にする外国人の名前であったから、それ以来、マイクという名の外国人に出会うと、まるで昔から知っているかのようにすぐに覚えられる。またアダムという名も、一度聞いたら忘れられない名前である。これはきっとアダムとイヴィのおかげかと思う。 アダム・シルヴァーマン、アダムもそうだが、シルヴァーマンというのもすんなり頭に入ってくるタイプの名前かと思う。おまけにトレードマークのボンバーヘッド(これは私語か?)がより一層彼のことを強烈に記憶させる。確か最後にアダムに会ったのは益子のスターネットで開催された展覧会のときではないかと思うが、その辺は定かでない。そして先日、プレイマウンテンで開催中の「HOLD IT」と題した展覧会にて再会。トレードマークだったボンバーヘッドは坊主頭に変わり、風貌の個性は控えめになったものの、新しい釉薬だと教えてくれたクレーター状のゴツゴツとした模様をまとった器たちは、アダムという名前、その風貌以上に忘れることができない個性豊かなモノに映った。

HOLD IT
Adam Silverman

PASSACAILLE / 中島ノブユキ2010.01.21 Thursday



 年末の忘年会で知り合った友達の友達。それはもう友達を意味していると思う。年明けに彼の勤めるBeams Recordの前を通りがかると、友達の姿を見つけた。迷わず、入った。思い返せば、何度もその前を通りがかっていたのに、入店したのは初めてだ。やっぱり小さい店には入りづらいものだが、入っていなかった自分に後悔した。選び抜かれたCDやDVD、そうだよな、Beamsってセレクトショップだもの、素晴らしい品々があるに違いない。といっても、音楽は大して詳しくない自分にとっては見たことのないジャケットたちに目が泳ぎっぱなし。そこで彼に、自分の好きなアーティストを伝え、お店で流せる静かな感じで、ボーカルがないもので・・・などなどとお題を投げかけた。するとスラスラと、これと、あれと、と棚から何枚かのアルバムを引っ張り出してきた。頼もしい。まるで優秀なコンシェルズだ。その気持ちよい対応に、あれこれ考えず、出してくれた4枚を迷わず頂くことにした。早速、お店で流してみると、すべてしっくり馴染んで、良かった。そして、特にこの1枚がお気に入り。しかしその1枚以上に喜ぶべきは友達との出会いかな。ありがとう。

PASSACAILLE / 中島ノブユキ

NIKKOR AUTO2009.11.30 Monday



 今のところまだライカが夢に出てくることはない。けれでも、カメラ仲間(そう呼べる仲間がこのところ増えた気がする)から、また写真を仕事にする知人からも、猛烈に勧められるので購入を前向きに考えているところ。だたし、心の準備とは裏腹に先立つものの用意はまだ先になりそうである。。。そんな心境もあってか、行きつけの(そう思っている)三宝カメラに行けばライカに関わらず、古いカメラやレンズが気になって仕方がない。そこで見つけたニッコーの古いレンズ、店員さんに聞けば1960年代に作られたものだという。今使っているニコンのカメラにも装着可能で、ただし全てアナログでダイヤルを手で回す必要がある点が違うらしい。確か、僕の狙っているライカもそうだと聞いている。だったら、ちょうどいい練習になりそうだ。試し撮りさせてもらうと50年近くも前のものとは思えないほど綺麗な画がモニターに映し出された。さらにレンズの姿が良い。特に気に入った絞りを示す数字は白、緑、赤、黄、青とキュート、まるでイームズの椅子みたいではないか。そう言えば、イームズが写真を撮っていたのもちょうどこのレンズが作れた頃だ。もしかしたら、同じレンズかもしれない。だったら、いい写真が撮れるかな?いや、撮らねば!

NIKKOR AUTO 28mm F3.5

A.P.C.2009.08.23 Sunday



 A.P.C.が使い古したデニムを持っていくと新しいデニムを50%OFFで購入できるというイベントを開催しているのを知って、確かタンスの肥やしになりかけている古いヤツがあったのを思い出した。そして早速、それを引っ張り出して青山へ出かけた。お店にて詳しく尋ねるとその古いデニムは手直しして、持ち主だった人のイニシャルを入れて、リアルなユーズドとして再び店頭で売り出されるという。それがA.P.C.の新しいデニム「BUTLER WORN OUT」と呼ばれるシリーズなんだそう。実に面白い。モノ以前に、そのブランドのスピリットみないなものに惹かれるタイプの自分にとってはA.P.C.が急に違って見えてきた。そのせいだろうか、普段は手を出さないであろうちょっと細めにデニムをいただくことにした。確実に自分の中にも変化があったみたいである。

The Robert Mapplethorpe Collection2009.06.19 Friday



 ずっと欲しい1冊だったけど、いつか出会うだろうと決めつけていたので今まで手に入れることが出来なかった1冊。振り返ってみたら、もう10年以上も探し続けていた。いや、正確には探していたわけではないのか。。。とにかく、そんなことをふと思い出し、海外サイトで検索してみるとあっさり見つかり、コレは運命だとまた得意の決め付けて、理由付け、そんなこんなで念願かなって手に入れたロバート・メープルソープ・コレクション。

 彼はアートやモダンデザインを中心にコレクターとして知られ、亡くなった後、残された膨大なコレクションがオークションにかけられ、そのときのカタログがコレ。久しぶりにその内容を見ると、グロテスクとも思えるコレクションに見られる激しくダイナミックな感覚と、北欧の陶器やイタリアのガラスのコレクションなどに見られる色彩や造形の繊細な美しさが1冊の中に混在する。「+」と「−」、「N」と「S」、まるで違って見えるモノたちの連続に心が右へ左へ、反復横飛びのように振り回される。けれども同時にアドレナリンが溢れてくるように先を急がせる。。。「+」と「−」、「N」と「S」、きっとベクトルは違えどその振り切った美しさに自分を含め、人は魅了されるのだろう。10年以上が過ぎ、彼の偉大な美的センスをちょっと分かった気になっている。いやいや、これもまだまだで妄想だけが膨らんでいるに違いない。当分の間、目に付くところに置いておいてじっくり考えてみたいと思っている1冊。

The Robert Mapplethorpe Collection

JAMES PERSE2009.06.08 Monday



 確か中学生だったと思うが、Hanesの3枚パックT-shirtsに始まり、GapのポケットTを好んだ時もあった、学生時代はGreatful DeadのサイケなプリントTもよく着た、古着屋さんでチャンピオンのカレッジTを探すのも楽しかった、Saint Jamesも良かった。最近ではループウィーラーのものがお気に入りだった。しかしお店を始めてからだろうか、T-shirtsを着る機会が減り、その代りに、襟のついたポロシャツやシャツを来て人前に立つようになった。そしてT-shirtsは休日着の存在として昔から持っているモノを着る程度になっていた。しかしことろまたT-shitsが欲しいと思うようになってきた。

 今回の買い付けでも合間を見て「JAMES PERSE」に行った。ロサンゼルスで一番賑やかかなファッションストリート、メルローズの一番端にあたり、その賑やかさはなく、落ち着いたエリアにお店を構えてる。白を基調とした店内は清潔感があってまさにJAMES PERSEらしい。T-shirtsはとにかくシンプルなものが多いが、肌触りのよいコットン生地に短めの袖など、素材やフォルムにこだわりを感じる。ブルース・ウェーバーの撮る写真の被写体になりそうな白人が来ていそうな、個人的にはそんなイメージを想像しているのである。もちろん自分とは程遠いのであるが、、、とにかくまたいいT-shirtsに出会って、夏が待ち遠しいのである。

JAMES PERSE
8914 Melrose Avenue Los Angeles CA 90069

ARABIAの植木鉢2009.05.22 Friday



 友人が椅子を見に行くからと、それに便乗して北欧のビンテージを扱うお店に連れて行ったもらった。お店に入ると、北欧、特にフィンランドからのモノが多い。いつになっても、そして幾つでも欲しいアアルトのものが沢山あり、いろいろと物色してみるも、生憎好みのモノが見つからなかった。そんな中、白い植木鉢に目が留まった。ショーケースに入れられていたので、念のため店主に売り物ですか?と訊ねると、売り物だと言う。さらにそれはARABIAのモノだと言う。確かにその四角形フォルムはカイ・フランクがデザインしたティーマにどことなく似ている。手にとって見せてもらって、すぐに心が動いてしまった。鉢本体と水を受ける皿が離れ、それが重なったときに綺麗に真っ直ぐ見えるようにデザインされている。「GOOD DESIGN!」即決でいただくことにした。
 ARABIAが植木鉢を作っていたとは聞いたことがない。持ち帰ってカイ・フランクの作品集で調べても、それらしいモノは載っていない。でも、同時代に活動したスウェーデンの陶器メーカーGustavsbergもテーブルウェアー以外にトイレも作っていたと聞く。かけ離れたモノのようでもあるが、確かに素材は一緒だ。だとしたら、これもやっぱりカイ・フランクがデザインしたARABIAのモノなのかもしれない。勝手な想像だけが膨らんでいく。しかし、まぁ、そんな自分のモヤモヤとは関係なく植えてもらった植物はスクスク、もうすぐ花が咲きそうだ。